だ。ログ。

開発とかスノボとかやきうとか。

誰のための転職か

この所、自分の知人が○☓に転職したとか違う業界に飛び込んだとか聴く。
それと若い子達が辞めたい、俺はこんな業界でこんな仕事する為に入社したんじゃないんだ!と言う入社後のギャップに悩む声も聞こえてくる。

若い頃は同じような考えで辞めたい、サボりたいと思うと理由付けをしていかにして合理的に会社を辞めてやろうか。
そして、もっともっとラクな会社に行ってやろうか。と言う事をよく妄想してきた。
人売全盛の時代、営業と言う名の炎上現場に金勘定した上で放り込む「営業」様が跳梁跋扈していた時代。
多重派遣SIerしか門戸が無く、放り込まれた闇の中から見える楽しげな午後のカフェの笑顔に自分の選択失敗に何度嘆いた事か。

と言う訳で、人を売る営業と言うモノを信頼していないし、そのテの人間と転職の際に何度もやりあった。
まだエージェントと言う形んであればこちらからお願いしますと言う形だったが、中には人の勤務先をどこぞで聞きつけ勤務先に電話をしてくる営業まで居るご時世。
それだけエンジニアと言う人間は売れれば単価が高い事が伺える。

あくまでも偏見でしかない。
そしていつもの通り、ファンタジー。創作である。それだけは前置きとして書いておく。

転職エージェントとは

歪んだ見方しか出来なくなってしまっているが、結局は人を企業に売ってお金を儲けると言うビジネスモデルが確立している。
2000年代中盤くらいから盛んになった。それまではWebでの求人はあったものの、丁寧に転職のイロハを教えノウハウを公開しオススメの企業様への紹介と言うサービスはなかった。
(寧ろ自分が箸にも棒にもかからないレベルのお粗末な人間であった事が一番の問題だが)

大手の中に潜む個別エージェント会社

大手エージェント会社に登録すると、まずこぞってスカウトが入るのが企業からではなく、転職紹介会社だ。
転職希望をしている=転職意思が有る。となれば金になる。
前回の自分の転職開始日に送られてきたスカウトは13通、全部転職エージェントからだった。
この数字から見ても、転職者は「カネ」になる生き物だと言う事がよく解る。
しかもプラットフォームを展開している会社がそれを認めていると言う事は、結局のところは手数料なりを払ってでも活動が出来る土壌があるのであろう。
ただ、ハッキリ言ってこの手のエージェントが勧めてくる企業は通年募集している企業だ。
そもそもその転職サイトに求人情報が載っている。しかし求人情報からではなく転職エージェントが餌を付けてウチで是非どうですか?!と言うスカウトを熱心に掛けてくる。

お目当ては埋まってしまいますよ!!

甘い言葉に誘われてエージェントと会う約束をする。事細かにメールでのヒヤリング、また職務経歴書や履歴書のチェックとアドバイス
その経歴や履歴書からあなたにピッタリの企業様も複数当日はご紹介させていただければ。あなたのスキルであれば引く手数多!このスキルセットで今の現状にとどまるのは勿体無いですよ!
今こそ転職のチャンスです、給料も待遇も大幅アップ間違い無しです!

出来る限りのヨイショと自分は有能で転職チャンスである事を刷り込まれはじめる。
ウキウキしながらエージェント面会日を迎えることとなる。

個別エージェントだと高級ホテルのカフェ、大手エージェントだとターミナル駅の近くにある自社ビルに通される。
まず適当な挨拶と今までの経緯を説明する。どんな会社で働いているか、将来どうなりたいか。30過ぎたオッサンが将来を語る。
それに全力で同意してくれる。自分のネガティブな部分を含めて、うんうんわかります。うわーひどいですねー。
どんなネガティブな事を言ってもその場は許されるのである。

そして本題、最初にこれなら話を聞きに行きたいな。と思われる紹介案件の説明、そして他の企業の紹介がはじまる。
有能と誤認している自分は、アレも良いコレも良いと目移りする。
大半は悩むと「とりあえずお話を聴くだけでもかなり違うとおもいますよ!」とか
「ここは残業が殆ど無いので、多分ちょっと暇くらいだったような」とか、甘い言葉からハッピーな毎日を連想させる。
ただ、自分が望んでいる第一希望に関してのみをOKして後は少し考えさせてもらえないですかね?と切り出す。
みるみるエージェントの笑顔が消える。

・今この時期を逃すとA社は人気だから求人を締め切ってしまうかも
・既に担当している人の中でも数人は二次選考に進んでいて、多分決まってしまう。しかし今なら人が足りてないから選考に残れる可能性は高い
・これだけスキルマッチしている会社も稀、勿体無い

焦燥感を煽る言葉を連発してくる。
最後の押しの一手は「迷ってるくらいなら、一度行って見てきた方が絶対良いですよ!面接の感覚を掴むために!」
プッシュプッシュの押し相撲。
この時点で「複数社受けなければならない」と言うよく分からない概念が出来上がっている。
その概念から出された選択肢が全てと勘違いをする。他に吟味する余裕もなく今ある選択肢から選ぶ事に目が行ってしまっている。
結局イエスを選択すると、1日の有給を使用すると共に午前中2社、午後多ければ3社程の面接を詰め込まれる事となる。

嫌われたくない

面接をすると転職の意思、今回の感想、そして自分の手応え等を事細かにメールで伝えなくてはならない。
疲れ果てて帰ってきても一息付く暇もない。
とにかく受けた会社の印象、どうだったか、どんな質問をされたか。次の人に繋ぐ為のノウハウとしてのデータであろう。
ただ、ここで「まだまだお世話になるなあ」と言う義理から、帰ってきて食べる事も後回しにして面接の情報を事細かに書き連ね担当者にメールする。
朝10時に家を出て、一息付いたのは午後10時を回っている。

・・・あれ、俺の有給ってなんだっけ?

そう思い疲れ果てた頭で考えるも、床につく。

ハッキリ言える事は、人間としてお世話になった義理。
これは忘れてはならない、ただしその義理の為に有給を使い交通費を使い面接すべきだったか。と言う事だ。
本命1社受けるのに、興味があまり沸かないがとりあえずと推された会社に足を運ぶ。
とりあえず格好つける事と好印象を与えないと企業から担当者に連絡が入り、今後不利になるのではないか?
結局の所、具体的に何がしたい訳でもなく必死で考えた職務経歴書と履歴書を擦り、面接対策をし、ホームページ等でサービスを確認して質問を考える。
義理だったハズがいつの間にか必死になっている。

結局、自分の愚痴を聞いてくれて言う事全てを肯定してくれた人だから嫌われたくない。
転職で不利になりたくない。と考えているのである。

それでもプッシュ!押しの一手

週多ければ3回、少なくとも1回はアプリやメールを使っての連絡を入れてくる。
今回の改善点、いまこんな企業さんがアツい、他の転職成功者の成功体験談、メールマガジン
ありとあらゆる成功体験の共有から、自分もこうなるんだ!と言う期待感ばかりに支配される。
そして頂いたメールから次を次をと転職面接を繰り返すのである。

そもそも転職って誰がするのか。

ここを自分は落とし所としている。
結局の所、人売派遣時代に無数に体験した
営業 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> エンジニア

お前らを売ってやるのは俺様達だ、お前は俺が忙しい時間を割いて売ってやろうとしてるんだ。くちごたえするな。
初対面なのに何度となく横柄な態度を取られた、そして見事炎上案件に放り込まれた後に話と違うと連絡すると、もうアカの他人。
ああ。そうなんですか。大変ですねー頑張ってください。
そして会社にアイツは根性が無いと言うクレームが入り、こっぴどく叱られる。

結局、自分自身がどうなりたいかと言う事よりも嫌われたくない、怒られたくない。
自分が不利になる事よりも人の機嫌を損ねたくない。人の顔色を伺ってしまって、自分が思う事や達成したい事の優先順位はどんどんと落ちている。

そこで譲歩をしてしまうと、結局自分が働き始めて「…あれ、俺待遇悪くなってね?」と気付き、担当者に連絡しても
「あとはがんばってください」と突っぱねられる。紹介金が払われた人間は、賢者モードのように冷めている。

そりゃそうだ。もう新しく売り込む人間を何人も確保して、自分が受けたサービスを他人は受けている。
そう考えると夜中だろうが朝だろうが連絡してきていた担当者だ、もう売れてしまった人間に興味はない。

あなたが必要です!と企業に言われ、ここならそのスキルを発揮してすぐに大活躍出来ます!と担当者からヨイショされ、勘違いした挙句
「じゃあ転職しちゃおうかなー」と言う謎の上から目線で転職したは良いけどブラック企業でござるの巻
と言う典型的な転職失敗は、自分が受けたサービス分のお礼を返さねば。と言う義理と勘違いだと感じる。

横柄な態度やサービスを受ける側なんだからサービスしろや。と言う態度は違う。
ただ、転職をする張本人は自分である。
聞きづらいかなあ。とか、これ聴かれたドン引きされるかなあ。と思って言わないままにしておくと結局は自分に最後はしっぺ返しが来る。
多少ツラの皮が厚いくらいに興味の有る事やリスクを自分から聞いていかないと良い事しか吹き込まれない。
結局は本音が出て来るまでに時間が掛かるのだ、その本音が見えないままに時間と金を消費し、最悪転職先は決まらない。
焦って決めた会社に決めてしまい、また転職活動をする。

転職をするのはあくまでも自分。
そのプラットフォームが全てではない、嫌なら拒否の意思を示すべきだし、納得いかなければサービスごと変えてしまう事も出来る。
なにもそのサービスが全てではない。競合他社が居るから転職者に対して必死にアプローチしてくる。
そして転職者はカネになる。
カネになる商品として、自分がどうなりたいか。それを忘れてしまうと自分自身が損をしてしまう。

と言うファンタジー。